子どもの発達には段階があります。その中で興味関心・体質、皆同じではありません。子どもはそれぞれの安心できる領域を持っているのです。子どもはその領域の中で思い思いに自分自身の心と体全部を使い、五感を働かせながら成長発達していきます。大人に教えられて育つのではなく自分で感じ自分で考えて育つのです。そんな子ども達にとって特に大切にしたいのは『自然との関わり』であると感じています。自然の中では沢山感覚を使い、感性を引出す事が出来るからです。多様な体験の繰り返しが領域を広げてゆくのです。つまり子どもは自ら感じる環境の中から新しい自分を発見していくのです。
保育園で生活する前期(0-3歳)の子どもは無意識に環境を吸収しています。この時期の様々な感覚体験は人間形成の土台となり一生の記憶として身につきます。この身についた土台があるからこそ3歳前後の意識の芽生えと共に、無意識に溜め込んだ様々な体験を意識的に整理していく事が出来るようになっていくのです。このように発達には時期や段階があります。しかしどんな段階であれ、学びの方法は同じです。
自分で感じ、自分で考えるのです。
その為、一人一人の子どもが個々の領域の中で感じる事のできる活動とその活動を選ぶ事のできる選択の自由と興味あることに出会ったらとことん繰り返し活動することのできる自由を保障する事が必要不可欠であると考えます。子どもが主人公になり、主体的に自ら関わることの出来る環境づくりを何より大切にしたいと考えています。
皆様、こんにちは。今年度より名誉園長を務めさせていただくことになりました松浦公紀(まつうらきみとし)と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
私は現在、静岡県静岡市において松浦学園子どもの家という施設を主宰しております。ここでは2歳児から小学生までを対象としたモンテッソーリ教育の実践を行なっております。また、大人を対象としたモンテッソーリ教育の普及も行なっております。常葉大学短期大学部保育科においてモンテッソーリ教育の講義の担当、東京に本部を構える公益財団法人才能開発教育研究財団日本モンテッソーリ教育綜合研究所教師養成センター長も務めております。日本国内のみならずアジア諸国においてもモンテッソーリ教師養成のお手伝いをしております。つまり、私の1年365日はどっぷりとモンテッソーリ教育に浸かっての毎日です。
地球の子ども会理事長の根本華誉先生、お母様のてる子先生とは30年来のお付き合いです。そのお人柄、リーダーシップ、使命感、行動力にはいつも頭が下がります。その敬愛する根本先生よりこの度名誉園長就任のお話を頂戴いたしましたことは、身に余る光栄です。浅学菲才ではありますが、専門のモンテッソーリ教育の知見を生かし、園のモンテッソーリ教育の充実、ひいては皆様のお子さまの一層の育ちの充実のお手伝いができればと思っております。
地球上には2種類の人間が存在しています。それは、「大人期の人間」と「子ども期の人間」です。この2種類は同じ人間でありながら実は全く異なる生き物です。私達は大人期の人間です。そして、大人期の人間は往々にして、子ども期の人間も私達大人と同じように物を見て、音を聞いて、同じように考えていると思っています。そして、私達大人の価値観を子どもに押し付けようとすることがあります。「子どもには子どもの大切な時期がある」、「子どもには子どもの感じ方や考えがある」ということを伝えてくれているのがモンテッソーリ教育の創始者であるマリア・モンテッソーリです。
モンテッソーリの考え方を知ることで、望ましい子どもとの接し方ができるようになります。子どもを受け入れることができるようになり、子どもと接することが楽しくなります。
そんなモンテッソーリの教えを皆様と共有していくことを楽しみにしています。